各部門インタビュー タテアニメ部門

個性光るアイディアのオールで
タテアニメへいざ出航!

「攻殻機動隊」シリーズや「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズなど、数々のハイクオリティ作品を手がけるアニメーション制作会社「プロダクション I.G」。2017年6月にアニメ視聴アプリ「タテアニメ」を公開し、本コンテストでも縦長のアニメ作品を募集している。タテアニメがなぜ生まれ、今後どんな広がりを見せるのか?そしてタテアニメで広がるクリエイターの可能性とは…?プロダクション I.Gの大久保圭プロデューサーにインタビューを敢行!

ビジネス的観点から生まれた新しいアニメの形

まず最初に、タテアニメとはどういったものなのかを教えて頂けますか。

タテアニメはスマホ専用の縦長のアニメを作って配信するというアプリです。全く新しい存在なのですが、スマホがこれだけ普及してるので、スマホ専用にアニメを作って流そうという一大プロジェクトです。最近の時流として、皆さんスマホを手放さなくなり、スマホを見る時間が圧倒的に多くなりました。そこでスマホ専用のアニメを作ってお届けすれば、現代の人に届くんじゃないかという意図で始まりました。

今の時代にあったアニメの見せ方ということでしょうか?

企画したのが一年くらい前なのですが、先行している「C CHANNEL」など、その頃ちょうど縦型の動画を配信するサービスが存在感を出してきた時期だったんです。「アニメ会社でもやった方がいいんじゃないか」ということで企画を進めました。

そもそも、アニメ会社がアニメを見るためのアプリを提供すること自体も新しい試みですね。

テレビアニメや劇場アニメはテレビ局や映画会社をはじめ、様々な会社と協力して制作していくものですが、配信はやろうと思えば自分たちで立ち上げられるので、せっかくだから挑戦してみようと。縦型のアニメというのはまだなかったので、もし上手くいけば、アニメ会社自身が新しいプラットフォームを設けて、テレビ局のように様々なことができるんじゃないかと思いチャレンジしています。

スマホ用にゲームを楽しむアプリだったり、漫画を読むアプリが既に成功していましたし、動画配信では「Netflix」や「Amazon プライム・ビデオ」などの大手配信サイトがありました。しかし、よりスマホに特化したものであれば、まだ入り込む余地や、新たに立ち上げる価値があるという仮説のもとに取り組んでいます。現在多くの企業に賛同を頂いて、出資して頂いたり、あるいは原作を提供頂いたりしています。

賛同頂いた企業からはどのような反応があったのでしょうか。

タテアニメの目的の一つとして、媒体として育てば縦長の広告を入れられますので、そこに広告会社からご注目頂いています。インターネット上に独自広告を出したい会社はたくさんあるのですが、これまで掲載先はポータルサイトや「You Tube」、場合によってはグレーゾーンなサイトや海外サイトになってしまうことがあるので、日本国内のサービスで動画広告を安心して出せる媒体が欲しいという要望が、広告会社にはあるようです。

プラットフォームとして注目が集まっているのですね。タテアニメを制作する人数は、通常のアニメを作るよりもずっと少ないのでしょうか?

はい。基本的にはちょっとした時間で見てもらうショートアニメということで、コンパクトに制作するというのは当初からの意図としてありました。劇場アニメ作品のように何年もかけるのではなくて、数ヶ月というスパンで制作しています。そのため、原作元とリリースのタイミングを合わせやすいというのもメリットですね。

長尺で高品質なアニメを作るには何年もかかるもので、例えば「これを3年後にアニメ化するぞ」と決めるには、相当企画を吟味しないといけないんです。その3年後のタイミングが原作やアニメにとってメリットのある時期になるかどうか、難しい判断が必要になりますし。

比較的すぐ出せるというのは、アニメ化を検討する側にとっても大きなメリットですね。

新しいアイディアに挑戦できる場

従来は横向きだった画面を縦にすることで、作り手側はどう感じたのでしょう。

ご参加頂いている誰もが、これまでアニメを縦型で作ったことがなかったので、やはり戸惑いや試行錯誤はありましたね。縦向きならではの表現といったものもありますし、もちろんこれまでの表現がそのまま使えないという場面もありますので、代わりにどうやって表現するのかということになります。

作品を制作、公開されていくことで見えてきた、他のアニメとの大きな違いはございましたか?

元々スマホ上で見るものですので、あまり長い時間よりは最初から短い作品の方が良いだろうと考えていました。それで1作品あたり平均3分程度にしているのですが、作品によってはもっと短くてもいいのかなというアイディアも出てきています。それは今後の作品作りでの課題と考えている部分ですね。

また、やはり構図が全く違うことが一番大きいです。横に長い画面だとキャラクターが複数いる場面が作りやすいんですよ。それが縦長になると、複数のキャラクターを同時に一つの場面に収めるのが難しくなってくる。けれども逆に一人を映す場合では、これまでバストアップくらいまでしか収められなかったのが、全身に近いところまで入れられるので、これはやはり利点ですね。加えて、一人のキャラがアップで映っている場面をスマホで見ると、キャラクターを親密に感じやすい、感情移入しやすいというのも特徴でしょうか。

現在タテアニメで配信されている作品ではホラーやコメディが多いですが、感情移入がしやすいということなら、もしかして恋愛ものとも意外と相性が良いのでは?

まさにそう考えています。やはり若い人に見てもらいたいので、恋愛もののジャンルは必須だなと思っていて、実際に企画を進めています。ぜひご期待ください。

1作品が3分よりも短くてもいい、というお考えはどういった意味でしょうか?

ストーリーものですとやはり3分くらいあった方がいいのですが、ギャグコメディ作品などですと、1分くらいの短くてキレがある方がいいかなと感じています。

今回タテアニメ部門では、募集要項で「3分以内」と定めていますが、必ずしも3分ぎりぎりまで使って頂く必要はなく、「これはすごい」という内容であれば1分でも30秒でも大丈夫です。どれだけ濃密か、強い説得力があるかが大事だと思っています。我々もまだタテアニメの正解がわかっているわけではないので、今回ご応募頂くクリエイターの皆様の作品によっては、もしかしたら「あっ、たぶんこれだな」というものを提案して頂けるかもしれないという希望を持っています。

タテアニメに合う作品のジャンルはどういったものでしょうか。

現在は原作ありのケースがとても多く、その中でスマホ向けのショートアニメにしやすいものというと、やはりギャグコメディものや、キャラクターものが多いですね。

一方で今後は、オリジナル作品にも挑戦したいと思っています。ただ今はタテアニメの認知度が高いとは言えませんので、オリジナルをバンバンやっても気付かれずに終わってしまう懸念があります。ですので今は原作中心にやっていき、まずはタテアニメを普及させてから、オリジナルに挑戦しようと考えています。知名度を上げてタテアニメが軌道に乗れば、「これをタテアニメで流してくれ」といった持ち込み作品も増えてくるでしょうし、もっと色々な施策やオリジナルの大作を作ることも、もしかしたらあるかもしれませんね。

先程お話に出た制作人数についてですが、応募者から「応募作品を複数人数で作ってもいいか」「チーム制作でもよいか」という問い合わせがありました。

まったく問題ないです。一人で作られる方もいますけど、基本的にアニメ制作は複数人で作るのは当たり前なので。もちろん、一人でも意欲がある方はぜひ挑戦して欲しいです。

自主制作のアニメコンテストは他にもあるんですが、応募者は同じ作品を複数のコンテストに出すことがよくあります。でも縦型アニメで募集しているところは他になく、BIGSHIP向けに新規で作って頂く必要があるので、結構ハードルは高いかと思います。

ただ、アプリを見て頂ければわかると思いますが、タテアニメの配信作品ではどちらかといえばクオリティで勝負する作品より、今の視聴者にフィットするような表現を求めています。縦長アニメを面白いなと思う人にはぜひ挑戦して欲しいです。

実際に募集内容にも「スマホ視聴に最適」とありますね。応募作品に求めるのは、タテアニメに対するアイディアや、可能性を提示するようなものということでしょうか。

我々も答えがない中でやっているので、ご応募頂く方から「こういうのがいいんじゃないか」という提案をして頂けると嬉しいです。

もちろん、クオリティにこだわって作り込んだ作品もウェルカムです。デジタルサイネージという、大きくて縦長の画面媒体がありまして、タテアニメでも作品によってはそういう方面での展開も想定しています。大型の縦画面で見栄えがする作り込まれた作品なら、それはそれで全然ありです。

とはいえ基本的にはスマホ画面向けなので、「スマホで見やすい表現とはどういうものなのか」ということを考えて頂ければと思います。もしかすると、タテアニメだけじゃなくて今後スマホで何かを表現する際の大きな可能性に気付けるかもしれません。

作品ジャンルとの相性によっても可能性が広がりそうです。

現在配信中の「ジンギスカンのジンくん」、「くるねこ」、10月20日から配信になる「おしゅしだよ」など、キャラクターがカワイイ作品もタテアニメに向いていると思っています。むしろ今までアニメをあまり見てない層にぜひ見て欲しいと思っていて、スマホでいつもカジュアルゲームをやっているような方々に引っかかる作品ができればと。深夜アニメを毎クール録画して見るような人からすると、ちょっと物足りないかもしれないですけれどね。

キャラクターものにも勝機が見えそうですね。作り手側としても、アニメをすごく好きで作っている人でなくても、自分の考えているキャラクターを動かしたいというのも立派な動機になりそうです。

キャラクターものはすごく可能性があると思います。スマホの画面を使った何かしらの芸やアイディアだけで勝負するような作品もありえると思うんですよね。そこについてもぜひ考えてみて頂ければ。

あなたの作品がタテアニメの代表作に…!?

タテアニメの今後の展開を教えてください。

「LINE LIVE」という今話題の生配信アプリがありまして、その中でタテアニメの情報番組を始めます。タイトルは「超!タテアニメディア」。10月11日から開始で、水曜の夜20時から21時、隔週で配信する予定です。アニメや4コマ漫画に詳しい吉本芸人の天津の向清太朗さんにMCをやって頂いて、声優さんや、各作品のスタッフにもゲストで出て頂く予定です。学研の「超!アニメディア」と協力しているので他のアニメのニュースも流しますが、メインとしてはタテアニメの新作情報や、回によってはゲストを呼んで「こういう作品をやります」という情報を出していく番組です。

これまでタテアニメだけで情報を発信していたのが、プラットフォーム自体にも広がりが出てきたところです。本編自体の二次配信も計画していますので、様々な面でさらに知名度を上げていきたいですね。もちろん宣伝だけでなく、新作も続々と配信していきます。これまでにないジャンルの作品、例えば乙女ゲーム原作のアニメも進行中なんです。人気漫画原作に加えて、小説やゲームを原作にした作品も計画しています。

応募者の方々にとっても、現在ラインナップされているジャンルでないと駄目ということではないのですね。それでは次に、アニメーション制作において大切にしていることを聞かせてください。

アニメーション制作はすごく大変な仕事で、通常のテレビアニメや劇場アニメを作るとなると相当な労力がかかります。色々な人が関わって作るものですからね。だから一緒に参加している人を裏切らずに信頼感で乗り切ること、かつ見たときに面白く作れているか、その両方を考えることでしょうか。

大変なお仕事だからこそ、考え方を固めずにいろいろアイディアを出し続けることが、タテアニメ制作に求める部分とも共通しているように思います。

そうですね。タテアニメは全く新しいものだし、色々考えながら作業をして「あ、これは上手くいった」「こういう方がウケるんだ」ということが、やって初めてわかるということがあります。他のテレビアニメや劇場アニメに比べると、タテアニメの場合は一作品あたりの労力が低いので、試行錯誤がしやすいということもありますね。

アイディア勝負というのは参入しやく感じられそうです。

横長のアニメは連綿とした歴史があって、ライバルも多く大変ですが、縦型アニメは新しい試みで、まだやっていないこともたくさんあります。そこに挑戦する余地があるんじゃないかと考えています。

投稿者の方は、どんな作品を求めているのかとても気になっていたと思いますので、今回のお話は非常に参考になると思います。それでは最後に、応募者の方へのメッセージをお願いします。

タテアニメはとても自由度が高いアプリで、それゆえに正解もまだ決まっていない状態です。良い作品を応募して頂ければ、「これがタテアニメの代表作だ!」と言われるものになる可能性も十分あります。縦型のアニメという媒体がまだこれからのものですから、新しいアイディアを持っている人はぜひ挑戦してみてください。

ありがとうございました。

タテアニメ部門の
募集要項はこちら!

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