特別審査員に訊く! ヤマザキコレ先生ロングインタビュー[前編]

世界を織り成す魂のルーツ
描き続けることが世界を生む

累計450万部を発行し、10月よりTVアニメが放映中の「魔法使いの嫁」。その作者である漫画家・ヤマザキコレ氏に創作の原点や秘訣を伺ってきました!担当編集・新福恭平氏との対談形式で、前後編に分けてお送りいたします。

何があっても漫画を描き続ける。

漫画家を目指したきっかけはなんですか?

ヤマザキ:
うーん気がついたらって感じですね。モノを作ることでご飯食べられたらと思って。モノといえば、文字か絵かというところで私の場合は絵にいったような気がします。そもそも漫画を昔から描いていたので。

新福:
で、描いていたら。

ヤマザキ:
いつのまにか、漫画家になっていた(笑)。

新福:
いつのまにか(笑)。
そもそも一番初めのデビュー作もWEB上で声を掛けられて始まったんですよね。

ヤマザキ:
そうですね、WEBに描いたものを上げていて…という流れですね。

新福:
ちなみに、声を掛けられるまでは何をどの程度活動してたんですか。

ヤマザキ:
同人誌自体は20歳から描いてて、一度離れたんですけど、24歳の時に就職した会社を辞めて、そこから半年くらい同人誌を出してた感じですね。

新福:
何冊くらいですか。

ヤマザキ:
月に30ページ前後のものを3冊分くらいだったような気が…。

新福:
それで描いたものをネットに少しずつ上げるうちに声を掛けられたという流れだったんですね。今思えばそれって大事な時間ですよね。量を描いてるわけだから。

ヤマザキ:
そう。ごく一部の天才を除いて、量を描かないと漫画家にはなれないと個人的には思っていて。そもそも私の場合、ちょっと描かないだけで本当に描き方自体をそもそも忘れちゃうんスよね。だからずっとコンスタントに描くことが重要だと思います。描けなくても描け!みたいな。

新福:
そういう気持ち、大事ですね。でも、実際のところ、沢山描くのって苦しいじゃないですか。描き続けられたのは何故でしょう?

ヤマザキ:
それはほら、締切があるから(笑)。自らを締切に置いて、そこに向けて必ずどんなものでも出すっていう心持ちで描いてたので。

新福:
「量を描く」「間に合わせる」はどちらも本当に大事だよね。

ヤマザキ:
描き終わった後にすぐ次何を描こうってワクワクできることも大事かもしれません。個人的には漫画本文は、考えながら描いてたら上手くなっていくと思います。だからこそ、量を描くのって大事ですよ。

新福:
それを聞くとやっぱり「なりたい」から「なる」じゃなくて、「描き続ける」から「なる」ってことなんでしょうね。

ヤマザキ:
そうかも。あと、量を描くと上手くなる以外にも、それをネット上に上げていると読んでくれる人との接点も増やせます。

新福:
コンスタントに作って人に見せることは存在を認識してもらう上で、特に今現在の世の中では重要なことですよね。

ヤマザキ:
描かない人はなかなか見つけてもらえませんから。どれだけ上手くなくても、描いた方が良い。その内に自分が何を描けばいいのかも見えてくると思う。

新福:
量を描くと、良い意味での力の入れ方・メリハリがつくでしょうしね。

ヤマザキ:
そうそう。自分が何にこだわってるか、わかるようになると思いますよ。つべこべ言わずにとりあえず描くのが吉と私は思っている(笑)。何が向いているか・自分が何を描けばいいのかわからなくても、それは描いてる内にわかってくるようになることが多いのかなと。

新福:
あと、これはあくまで例えばの話なんですけど、商業で立ち行かなくなったとしても、何があっても漫画は描き続けますか?

ヤマザキ:
描くでしょうね。今までもそうだったし。描きたいという欲求から始まってますから。

新福:
それは……呪いにも似た…(笑)。

ヤマザキ:
そうだと思う(笑)。 でも、漫画を描くために必要なお金を稼ぐために別で働くとは思うよ。

新福:
でも呪いは祝福とも言えますから。描くということがヤマザキさんの中で自然になっているんだなぁ。

ヤマザキ:
まぁ、でも私の場合は独身なのでそう思えるのかも。家族がいれば、そこにはやっぱり互いに対して責任が出てくるでしょうから、そうなると少し考え方も変わって当然だと思います。

新福:
置かれた立場で言えることも意見も変わるよね。

同じアイデアでもどう味付けするか次第。

一番最初に描いた作品はどんなものでしたか?

ヤマザキ:
それかー!!それについては最近思い出したんですけど、小学生の時です。これはもう……アレですよ…天使と悪魔のお話ですよ(笑)。

新福:
皆、一度は描くだろうというド直球に好きなやつ!どんな話だったんでしょうか。

ヤマザキ:
そう!皆大好物のやつ!(笑)。 内容は覚えてないけど、人が死ぬことが多いやつだった気がします。

新福:
モチーフとしては大事な王道ですね。そういう意味では、ヤマザキさんも初めからすごく独特なものを描いていたわけじゃないと。

ヤマザキ:
そもそも、今もすごく新しいものや独特なものを描いているわけでもないですから。私自身は尖ったものが好みだけど、それが自分に描けるかっていうと描けないからね。好きなものと描けるものは別問題。

新福:
読むのが好きなものと描くのが好きなものって違うということですかね。

ヤマザキ:
そうそう、全然違う。 見えないかもしれないけど、私は「HELLSING」とか「BLACK LAGOON」とか「Pumpkin Scissors」とか「トライガン」とか、みなぎ得一先生作品とかを読んで育ったんだよ(笑)。

新福:
ヤマザキさんにとって、みなぎ得一先生の作品はどちらかというと、読むのも描くのも好きなものという感じで、それ以外の作品は、もちろん影響は受けるだろうけど、お客さんとして好きということですよね。

ヤマザキ:
そんな感じです。あとは、描きたいというくくりで影響受けてるなと最近思いだしたのは、八房龍之助先生の作品ですね。

新福:
あ、やっぱり!絶対好きだろうに、今まで他のインタビューで出てなくて不思議だったんだよね。僕も好きです。

ヤマザキ:
好きなものって多いんですけど、いざ聞かれるとパッと出てこなくて(笑)。

新福:
ちょっと初めの質問からズレたので元の筋に戻しますと、「このアイデアはすでにあるんじゃないか」ということは、気にしすぎない方が良いのかなと思ってるんだけど、どうですか。

ヤマザキ:
うん、気にしすぎない方が良いと思う。人間考えつくことは似たり寄ったりかなと私は思ってるので。ただ、そのアイデアをどう味付けしていくかは個人によって随分変わると思うんですよね。同じアイデアだったとしても、それを構成する台詞だったりは各自の中身が出るわけで、あまり気にしないで描いた方が良いかなと。

新福:
ですね。どちらかというと、死神とか魔法使いとか王道のアイデアでもイメージを強く具現化したり、あるいは自分なりの意見を述べたり、カスタマイズして陳腐化させないことの方が大事だよねと。皆が好きなモチーフだから今もあるわけだし。

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