特別審査員に訊く! ヤマザキコレ先生ロングインタビュー[後編]

現実をくるむ幻想に
たくさんの夢と情熱を込めて

夢を見ないと人は進んでいけない。

ヤマザキコレ先生にとって、ファンタジーの醍醐味とはなんでしょうか。

ヤマザキ:
現実をオブラートに包める、ということですかね。生々しい現実をファンタジーというオブラートに包むことで納得しやすくなるように私は思ってて。

新福:
抽象化した事実を、まったく立場が違う状態で読ませることで読み手が現実を受け止めやすくなるんですよね。僕は「魔法使いの嫁」を担当していて思うんですけど、チセが人為らざるものの世界に行ったり竜と混ざったりするのは、人の人生において誰しもある体験や痛みを普遍的に描いているにすぎないと思っていて。現実でも、色んな呪いを背負って生きる人もいるし、半身を他者と分け合うことだってあるし、衰えゆく先達から教わる最も大事なことは、生き物は死ぬということだったりするよねと。だからこそ、読む人によっては何も特別なことが起こらない話にも見えるんですけど、でも実はそれで合っているというか。「魔法使いの嫁」は人生を描く物語なのかなと。

ヤマザキ:
そう。ファンタジーは、現実で乗り越えねばならない理不尽さ等を寓意化できると言いますか。自分自身の現実とまったく同じものだと客観性が保てないところを、ファンタジーというものでくるむことで、同一の出来事が起こっても客観的に物事を捉えて貰えて、バイアスの掛かりにくい状況を作れるというところが、やっぱり醍醐味というか面白味かなと個人的には思います。あとは現実世界ではやりにくいものや有り得ない美しいものを描けるのも醍醐味ですかね。その世界上でルールは必要なんですけど、現実よりそれが柔軟になるというか。そういうところが良いなと思います。それに子どもにも受け入れて貰いやすいのも素敵だなって。

新福:
現実で痛みを伴うものを真正面から描くのも大事ですけど、そんなのばっかりだと大人になりたくなくなるでしょうしね(笑)。

ヤマザキ:
そうね(笑)。それにファンタジーって、読む側の心の中に「受け皿」を作ってくれるんですよ。

新福:
「エルマーのぼうけん」の翻訳者だった渡辺茂男さんの言葉と言われているものですよね。実際、真偽は調べたことがないんですが、僕もあれはすごく大事で素晴らしい言葉だなと思います。

ヤマザキ:
「実在しない生き物が子どもの心に椅子を作り、それらが去った後に実在する大切な人を座らせることができる」という言葉ですね。美しい考え方だなと思いますし、そうなったら良いなと思いながら描いてます。夢とか幻とか言いますけど、人はそれがないと生きていけないんですよ!

新福:
まぁ大人になると辛いことも多いからね(笑)。

ヤマザキ:
そういう意味では、この間、寝しなに思ったわけですけど、大人でも夢を持つ事の何が悪いのかと。夢を見ないと人は進んでいけない。

新福:
そうですね。夢があって情熱があるから仕事もやれるわけで。情熱こそが何かを変えられる力を持つと思います。そういう意味では夢見るだけじゃなく情熱を持って自分を進めることも大事ですね。

ヤマザキ:
そうですね、夢と情熱、大事だなと。そういうこと丸っと全体的にファンタジーは教えてくれると私は思うんだよ……皆も漫画だけじゃなくファンタジー作品全般を読もう!

気負わずに、締切まで頑張りましょう!

ヤマザキコレ先生がもし、ファンタジーコミック部門にご応募されるとしたらどんなテーマを組み合わせますか?

ヤマザキ:
ファンタジーに地理とか地層とかそういうものをかけ合わせていきたいかなと。それ以上はネタの話になるのでやめときます(笑)。

ファンタジー作品を描く際に気をつけなければならないことはありますか?

ヤマザキ:
生々しくなり過ぎないことかな。残酷さとかそういうものではなくて、悪意や理不尽がないといけないものもあると思うんですけど、ただただエグいだけよりはそこに一種の美しさや楽しさ、かっこよさ・ロマンや賛美、理想のようなものもあった方が良いかなと個人的には思います。

新福:
絶妙なフィクション感があった方が良いということですね。バランスには気をつけた方が良いかもしれないのはあるかも。

応募作品を見る際に一番注目するところはどこですか?

ヤマザキ:
作家さんによって良さがあると思うから、全部見ますよ。ここだけを見るということはしないですね。ただ、全体の構成と、そのお話を読む側が共感できるか・納得できるかは気にするかも。読んでる内に何か一つでも共感したり納得できるものがあれば「おお!」って嬉しくなると思います。編集さんと組む前に現時点で一人でどれだけ出来るのかは私でなくても恐らく皆が見ているところなのかなと思ったりします。

応募者の方々に向けてメッセージをお願いいたします。

ヤマザキ:
とりあえず、締切が来るまで足掻きましょう……!自分の中の100%を見てもらおうと気負わずに、とにかく、ただのイベントの一つと捉えて締切まで頑張りましょう。そして、ヤバいものが出来たなーと思ってもそれを赤裸々に私に是非見せてください!私も大概ヤバいものを描いてきてるので、恐れず…!ご応募頂ければ…!せっかく描いたものも人様に見せないとただの紙切れなので…是非!

新福:
ヤマザキさんでもヤバいのは、たまにネームまでは今も描きますしね(笑)。

ヤマザキ:
シッ!!皆さん、あまり考え込まず、賞金狙って頑張りましょう!

新福:
ですね、長らくお時間いただきありがとうございました!そういえば、今回大賞は、300万とアニメ化らしいですよ…僕もアニメ化してくんねーかな…。

ヤマザキ:
すごい金額だ……ってアンタ、何言ってんスか…。

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